日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなっています。一方で、日本は世界の中で最も高齢化が進んだ国です。2022年の人口推計によると、75歳以上の高齢者は前年より72万人増えて1937万人で、初めて総人口の15%を越えてしまいました。高齢化率は今後も上昇する見込みであり、がん患者さんも増加することから、若年から高齢者まで幅広い年連層に対するがん治療および医療介護体制の充実が喫緊の課題といわれています。
当院は、とくに増え続ける高齢者のがん治療においては根治性とQOL、患者さんの人生観・価値観・死生観のバランスを症例ごとに慎重に判断して治療法を決定します。
当院は伝統的に腹部消化器がんへの強みが特徴です。健診センター、内視鏡センターによる消化器がんの早期診断から治療まで、進行がんに対する化学療法から緩和医療まで、腹部救急を含めて内科外科の垣根なく、各科横断的な医療を行っています。
扱う疾患:食道・胃・小腸・結腸・直腸癌、GIST、胆嚢癌、胆管癌、膵癌など
三重大学医学部附属病院との連携にて
遺伝子の変化に基づくがんの個別化治療(固形がん対象):三重大学医学部附属病院ゲノム診療科と連携しており、手術や内視鏡生検で得られた腫瘍組織を提供し、がん遺伝子パネル検査を行っています(適応症例に限ります)。
2021年4月、当院のサポートにより三重大学大学院医学系研究科内に寄付講座「先進血液腫瘍学講座」が開設されました。血液腫瘍、特に悪性リンパ腫とその類縁疾患に関する研究・教育・診療を主な目的とするもので、大学の専門医師による治療を当院にて受けられる体制を構築しました。血液腫瘍を専門とする常勤医も配置され、三重大学血液・腫瘍内科と連携しながら診療に当たるとともに、津市内から国内全体に向けてリンパ腫治療の環境整備を目指していきます。大学病院と地域中核病院が連携することで、より多くの患者さんに的確な治療が迅速に提供できるうえに、多くの患者さんの治療実績から、血液腫瘍で困っている患者様の光となるような科学的な知見が三重県から全国に発信されることを願ってやみません。
三重大学大学院医学系研究科 先進血液腫瘍学講座 教授 山口素子先生
当院では多職種が同じ医療理念で動いており、患者さんができるだけ元の生活に戻れるよう様々な方面からサポートしています。
がんリハビリテーション:がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、残っている体の能力を維持・向上させるために受ける医療です。リハビリテーション医療は、がんと診断された直後から受けることができます。また、緩和ケアの一環として、心と体の様々な苦痛に対処する目的でも行われます。
栄養指導:がん治療中は、味覚障害や口内炎、手術による消化管再建の影響などもあって、食事が十分に取れなくなることがあります。しかし、「がんばって食べよう」と思うあまり、食べることがつらくなってしまうこともあるかもしれません。当院では病態を理解した栄養士が個別に患者さんをサポート致します。入院中だけでなく、自宅での食事についても、ご家族同席で栄養相談が受けられます。遠慮せず、担当の医師や看護師、栄養士に相談してみましょう。
緩和ケアチーム介入:がんになると、体や治療のことだけではなく、仕事のことや、経済的なことなど、多くの悩みが問題になります。緩和ケアは、これらがんに伴う心と体のつらさを和らげる医療です。緩和ケアは早期や進行など、がんの状態とは関係なく、がんと診断されたときから始めることが大切です。当院では緩和ケアチームを中心に、リハビリテーション部、栄養部、ソーシャルワーカーなど多職種で情報を共有し、患者さんをサポートさせて頂きます。
医療相談:高齢・体力低下の中でのがん治療は日常生活にも介護支援など必要です。また、がん治療に関わる経済的な悩み、仕事のことなど社会的な悩みも尽きません。当院ではソーシャルワーカーや臨床心理士はじめ、社会資源の活用方法の助言など、どこに相談してよいかわからない悩みも含め、患者さんに寄り添ったサポートを大切にしています。遠慮せず、ご相談ください。
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